■世界■ 秩序と混沌、平和と争乱、剣と魔法がせめぎ合う世界。 世界を呼び表す名は無く、人々の住まう地もただ「大陸」と呼ばれる。 主な舞台となるのは、中央を巨大な山脈で分断された「大陸」の、その西方。 上記の地図はフレヴェール帝国が周辺諸国へ侵攻を開始する前後のもの。 ■地名■ ・中央大山脈 大陸のほぼ中央に位置し、北の凍結王国、南の「剣峡湾」と共に東西を分断する大山脈。 馬車も通れず、徒歩以外の通行手段は無い。 山中の何処かに、三貴神信仰の聖地があるとされる。 ・凍結王国 王国と呼ばれるが、実際は国に非ず。永久凍土と雪と氷とに閉ざされた未踏地。 人間が何の備えも無しに足を踏み入れれば一日足りとて生き延びる事は出来ない。 ・漆黒の海 大国が丸々一つ収まるほどの巨大な円形の湾。 瘴気に冒された湾の水は中心部に近付くにつれ濃度を増し、中心は魔界へ通じると噂される。 500年前、狂気の王が呼び出した魔王により蹂躙された地。 ・黒竜島 黒龍王が眠るとされる火山島。住民の大半は龍族であり、唯一黒龍信仰が盛んな地。 竜王国以外では数少ない竜種の生息する地でもあり、ドルガナード帝国の象徴ともなっている。 ・聖地クルトーレス レイルード王国領内に位置する山。麓に王都セロイアを臨む。 天地戦争の折、一隻だけ残った天使の船がその山頂に堕ちたとされる、聖教会における聖地。 平地に忽然と姿を現すこの山は中腹から急勾配となり、山頂は雲の中へと隠れる。 その威容は「天を衝く山」、「天使の槍」などと称される。 ■種族■ ・人間(にんげん) この世界に広く分布する、典型的な人型種族。 様々な人種が存在しその特徴も多岐に渡るが、基本的に全て「人間」として一括りにされる。 平均寿命は50〜80歳程度。 ・精霊(せいれい) 自然の運行を司る霊的存在。火や水など自然に則した属性を持つ。 意思を持たない単なる力のようなものから、精霊王と呼ばれる神の如き存在まで多種多様。 人格(のようなもの)を備える個体は、属する元素で擬似的に肉体を形成している場合が多い。 平均寿命などは不明。 ・妖精(ようせい) その発生は精霊と人間の合いの子であると言われる人型種族。 精霊よりエゴが強く排他的な性質が強い。他種族と関わりを持たず閉鎖的な社会を構成している。 ・樹霊人(じゅれいびと) 妖精の一種。白〜薄茶の肌と緑色の髪、黄〜青の瞳を持つ森の守護者。 木から作られた魔法の弓矢で武装し、森を荒らす者を容赦なく襲う。 強い生命力を持ち、不老。死した肉体は樹木として再生すると伝えられる。 ・地霊人(ちれいびと) 妖精の一種。岩のようにゴツゴツした肌と暗色系の体毛、瞳が特徴の大地の民。 地中に穴を掘って生活し、鉱石を採掘・加工する術に優れる。 小さいが頑強な体躯の持ち、岩石と同等の時を過ごす。 ・熱砂の民(ねっさのたみ) 灼熱の砂漠に住まう、妖精の一種。 比較的人間に近い価値観を持つため、砂漠の案内人として人間と共存している場合が多い。 褐色の肌と燃えるような赤い髪、赤玉のような眼が特徴。 体温が非常に高く、暑さ寒さに強い。平均寿命は30〜50程度。 ・氷の民(こおりのたみ) 凍結王国に住まうとされる伝説上の種族。氷に属する妖精の一種とされる。 氷細工のような美しい身体を持ち、色素の薄い透き通るような肌と髪が特徴。 ・龍族(りゅうぞく) 大陸南方に一大勢力を持つ種族。外見は人間に似るが、龍の姿へと変化する。原理は不明。 一説には、彼らの体内に宿る高濃度・高密度の気、『龍気』が体外に放出され凝固・物質化した『存在としての本質的な姿』が龍であると考えられている。 精霊と同様に属性を持ち、金龍、赤龍、青龍、白龍、緑龍、黒龍など様々に分類されるが、人間における人種の違い程度と考えられる。寿命は不明。強力な個体ほど長い年月を生きる。 ・神属(しんぞく) 人間以前にこの世界に栄え、人間の祖であるとされる、大いなる力を持つ存在。 天使との争いに敗北し、異なる世界へ落ち延びたとされる彼らの姿を直接見る事は叶わない。 だが彼らは確かにこの世界へ影響を及ぼし、また、一部は現世に留まっているとされる。 ・天使(てんし) 銀の船に乗って天より飛来し、地にある神々とこの世の覇権を掛けて争ったとされる存在。 聖教会において「天の神の使い」とされるが故に「天使」と称される。 人間と似通った外見を持つが概ね美しく、背に光の翼を持ち自在に天を翔る。 結局のところ痛み分けに終わった神族との戦争後、聖地クルトーレス山に篭り続けている。 ・魔属(まぞく) 異界よりの侵略者、異形の者。妖魔、悪魔、魔王、魔人、魔神などと称される。 獣並の低級なものから人語を解するもの、神の如き能力を持つものまで様々。 瘴気を身に纏い、この世界を汚染・変質させる。 ■国家■ ・レイルード王国 大陸西北部、北海沿岸に位置し聖地クルトーレスを擁する聖教国家。 聖教国家とは言っても地理的に聖地を擁するが故にであって、国民の半数は三貴神信仰の信者である。小国ではあるが代々賢明な王に恵まれ、長い歴史を持つ平穏で豊かな国。 ・フレヴェール帝国 大陸西北部に位置する大帝国。大陸屈指の騎士団と練度の高い魔導兵団を有する「陸の帝国」。軍とは別に皇帝直属の、国内外で諜報・監査を行い独自の執行権を持つ「黒騎士団」を擁する。 古代の魔導遺跡を復元した通信網を持ち、広い領土に反して完全な中央集権を実現している。 妖魔を率いた兵団が存在するなど黒い噂が絶えず、現皇帝が病に伏して皇女一派が実権を握ってからは得にキナ臭い雰囲気が漂う。 ・リオス王国 大陸西南部、二方が海に面した貿易国家。 湾を挟んでドルガナード帝国の対岸に位置し、自由貿易を武器に帝国と渡り合える海運力を持つ唯一の国。実力主義の国家で、能力さえあれば身分に関わらず重用されるため、夢を持った若者が集い活気に満ち溢れている。 清濁併せ呑むが故に裏の顔も持つ。 ・ドルガナード帝国 大陸西南部の半島とその周辺の島々を領土に持つ、西方随一の海運力を有する「海の帝国」。 領土内に存在する黒竜島産の亜龍種を配備した陸海空軍は他国の追随を許さず、南の大帝国として君臨する。特に飛竜からなる空軍は他に類を見ず、これに対抗できるのは竜王国の龍騎士のみとされる。 ・マルクト王国 大陸西部中央に位置する魔導国家。魔導学院を擁し、優秀な魔導師を多く排出している。 「使えるものは何でも使う」と言う無節操さと自己鍛錬を怠らない国民性を併せ持つ。 国の政策としてもその性質が目立ち、中立国であると同時に周辺諸国に太いパイプを持つ。 ・アルマレオン王国 大陸の西端に位置する代表的な封建国家。 魔導後進国であったが、現国王のカルストラ家とマルクト国姫との婚姻により援助を受け、その方面でも徐々に力をつけてきている。歴史の古い大国ではあるが、最近は各領主の発言力が増し、足並みが揃わなくなっている感が否めない。 ・竜王国 龍王ウォレマティを守護神とし、同時に国主に据える龍族の国。 王国の名を冠するが、実際は13人からなる長老会が国の最高意思決定機関。そもそも龍族が自衛のために寄り集まったのが国の始まりであり、自衛自治のためにしか武力を行使しない。 この国の象徴でもある「龍騎士」は、乗り手である騎士が乗騎である龍族と契約を交わし、両者が揃って初めて称号を認められる。 ・トゥーレ王国 大陸北限に位置する小国家。国土の大半が一年を通して雪に覆われ、実りの少ない貧しい国。 だがそれが幸いし、他国の侵攻対象になる事も無く平穏な国であった。 だがフレヴェール帝国の侵攻と前後して謎の疫病に襲われ、国民の3分の2が死亡すると言う大惨事に見舞われる。さらに、疫病の蔓延を恐れた周辺国からは援助も受けられず、陸の孤島と化したこの国は以後十数年、歴史の表舞台から存在を抹消される。 ・チェルジャーニ王国 大陸中北部に位置する小国家。 北部のわりには農業が盛んで、東部を中央大山脈に面している事から林業なども盛んである。 隣国トゥーレとは王家間で親密な付き合いがあったが、大疫病を期に国交を断絶している。 ・アノス王国 大陸西方の東部、北を中央大山脈、南を漆黒の海に挟まれた軍事国家。 漆黒の海から稀に現れる魔族に対抗するため、軍備の強化には余念が無い。 罪人たちで構成された騎士団が存在するなど、とにかく武力偏重が目立つ。 ・ペリーズ法王国 聖教会の本拠地。法王が国主を兼任する。 ・サーベイン王国 大陸西中部に位置する国家。リオスと国境を接し、その貿易で栄える。 ・聖ウル国 大陸西南部、漆黒の海に面する宗教国家。現在は幼い王を擁立する。 地母神信仰を国教とし、その教主である女性が実権を握っている、女性の地位が高い国。 ■信仰■ ・三貴神信仰 法神ローナー、調停神トゥワルー、混沌神ゾアの三柱を最高神と崇める宗派。 この世界で多数派を占める、ごく一般的な信仰。 三柱の神の下には様々な自然の力を司る神が存在する。 ・地母神信仰 地母神アールマティを信仰する、三貴神信仰の分派。 地母神自体が大地の恵みや愛を司るため、この宗派では性に対して大らかな傾向が見られる。 農耕国などでは特に信仰が盛ん。 ・九英神信仰 最も最近に顕現した、500年前の魔大戦における英雄神。物語の題材になる事も多く人気が高い。 三貴神信仰で主神の一柱に数えられる、調停神トゥワルー率いる八柱の神々。 ・軍神サハディーン 黒き鎧を纏った武人の姿で描かれる。軍人に人気が高い。 ・闘神イストミア 黄金の鎧を纏った女性の姿で描かれる。武術家に人気が高い。 ・炎神ガーナ 赤髪の、中性的な男性の姿で描かれる。芸術家に人気が高い。 ・風神クィン 細面の知的な男性の姿で描かれる。文人、学者に人気が高い。 ・水神ガブリエル 楽器を持った、白い翼を持つ女性の姿で描かれる。音楽家に人気が高い。 ・森神アスフェスノース 樹霊人の女性の姿で描かれる。人間にはあまり人気が無い。 ・龍王ウォレマティ 金色の雄々しい龍の姿で描かれる。竜王国の守護神。 ・雷王ラウラ 荒々しい女性の姿で描かれる。人間味のある性格が物語の題材とされやすい。 ・邪神信仰、魔族信仰 厳密に言えば両者は別物であるが、信仰自体が他者を害する事に繋がると言う意味では同一。 邪悪な意思を持った神族、或いは魔族を崇拝し、この世界と生きる者全てを供物として捧げる事を究極の目的としている場合が多く、それでなくても他者の生命を省みないものが殆どを占める。 ・黒龍信仰 黒竜島のみで見られる、死と破壊と終焉を司る黒龍王を崇める宗派。 黒竜島で十数年に一度生まれる黒龍の子を、黒龍王の化身として奉じる。 自ら進んで神に命を捧げる事を美徳とする特異な生死観のため、邪神信仰とも同一視される。 ・土着信仰 その土地々々を守護する神族への信仰。広い意味では地母神信仰もこれの一種。 山の神、森の神、川の神などなど、地方でよく見られる信仰。 ・聖教会 神族に頼る文化に反発した、とある哲学者の理念を基して発生した一神教。 だがやはりこの世界においては一般的とは言い難く、発生から長い年月を経て当初の理念も歪み、教会中央には腐敗が蔓延し初めている。 また、天使を崇める「天使教会」なる異端も存在する。 |